※ご覧になるにはAdobe Acrobat Readerが必要です。
こちらからダウンロードしてください。
高分子事業
2026/9/30
低誘電ビスマレイミド樹脂Uイミド®︎(型番「UMI-0」)の開発について
ユニチカ株式会社(本社:大阪市中央区 社長:藤井 実)は、先端半導体パッケージ基板用材料として適用可能な、低誘電ビスマレイミド樹脂Uイミド® (型番「UMI-0」)を開発しました。 「UMI-0」はすでに、量産化体制を確立しており、顧客へのマーケティング活動を開始しました。
1.開発の背景
近年、生成AIやクラウドサービスの急速な普及、5G通信の高度化により、社会で扱われるデータ量は飛躍的に増加しています。AIサーバーやデータセンターでは、膨大なデータをより速く、より効率的に処理するため、半導体の高性能化に加え、半導体パッケージ内部における電気信号の高速伝送が重要になっています。電気信号の周波数が高くなるほど、基板内部では信号の減衰や発熱につながる伝送損失が生じやすくなります。そのため、先端半導体パッケージ基板に使用される樹脂には、電気信号のエネルギー損失を抑える低誘電正接※が求められています。 低誘電樹脂には、低誘電特性や耐熱性を確保するため、剛直な芳香族骨格が広く用いられています。一方、樹脂全体を剛直な芳香族骨格のみで構成すると、硬化物の柔軟性が不足し、温度変化に伴う変形に追従しにくくなる場合があります。その結果、半導体パッケージの製造工程や使用環境で生じる熱応力を十分に緩和できず、局所的な応力集中によってクラックや界面剥離につながることが懸念されます。また、基材や他材料との十分な接着性を確保することも課題となります。
※低誘電正接=絶縁材料に交流電界を加えた際に失われる電気エネルギー(熱として消費される損失)の割合が小さい状態。
2.特長
当社が新たに開発した「UMI-0」は、柔軟な脂肪族骨格を有する分子設計と、不純物となる酸成分を低減する独自の高純度化技術を組み合わせた、液状の熱硬化性ビスマレイミド樹脂です。
ビスマレイミド樹脂の製造工程で残存する酸成分は、低誘電正接化を妨げるだけでなく、樹脂組成物の相溶性や粘度、硬化挙動に影響を及ぼす可能性があります。 「UMI-0」は、これらの酸成分を当社独自の技術を用いて極限まで低減し、酸価1.0 mgKOH/g未満を実現しています。これにより、優れた低誘電正接に加え、他樹脂との配合時における相溶性の向上や、組成物の低粘度化、安定したハンドリングへの寄与が期待できます。また、柔軟な脂肪族骨格により、半導体パッケージの製造工程や使用環境で発生する熱応力を緩和し、クラックや界面剥離の抑制、基材に対する接着性の向上に寄与します。

図1 ビスマレイミド樹脂の従来製法と当社独自製法の酸価比較
*酸価は当社測定値です。従来製法の数値は当社調査による参考値であり、製品および測定条件によって異なります。
加えて、 「UMI-0」は、樹脂成分自体が常温で液状であり、25℃における粘度は約2 Pa・sです。低粘度で流動性に優れるため、樹脂組成物の粘度調整やフィラーの高充填化への活用が期待できます。各種有機溶剤への溶解性にも優れ、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂に配合することで、誘電特性の改善、熱分解開始温度の向上、可撓性の付与が可能です。
「UMI-0」は、低誘電特性、柔軟性、接着性、加工性を併せ持つ材料として、先端半導体パッケージ基板のほか、導電ペーストや高耐熱性接着剤などへの展開が期待されます。

写真1 低誘電ビスマレイミド樹脂「UMI-0」の外観
3.今後の展開
現在、開発した低誘電ビスマレイミド樹脂に関する特許は国内外で約30件出願済みです。先端半導体パッケージ基板用途を含む電気・電子分野への展開を広く行い、国内市場に加えて海外顧客の開拓にも注力し、グローバルに販売を拡大することで、2030年に売上高10億円を目指します。
また、当社では、「UMI-0」を起点として、特性の異なるビスマレイミド樹脂の開発を進めています。低誘電特性、柔軟性、耐熱性および接着性などを用途に応じて最適化し、顧客の材料設計の自由度を広げる製品群の構築を目指します。今後も、高速通信や先端半導体の進化に伴って多様化する要求に応え、次世代の電気・電子機器を材料面から支える製品の開発に取り組んでまいります。
以上
<本件に関するお客様のお問い合わせ先>
ユニチカ株式会社 樹脂事業部
機能樹脂第三グループ
TEL:06-6281-5034
<本件に関する報道関係からのお問い合わせ>
ユニチカ株式会社 広報グループ
TEL:06-6281-5695
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
